ホスト国の文化や生活習慣に慣れた後に自分の国へ戻ると、その現実に溶け込むことが大変だと感じるかもしれません。ホスト国にいる間に、留学生の多くは、自分の文化的アイデンティティーを再度模索したり、ライフスタイルや価値観、自分の国への思いなどの面で大きな変化があります。帰国後、多くの面で自分が認識していたことと違うということに気づきます。ホスト国をより好意的に感じる一方で、自分の国を批判的に見てしまうかもしれません。これを「リバース・カルチャー・ショック」といい、異文化適応過程と同じように、個人差があり、特に問題がない人もいれば、想像もしていなかった苦悩を感じる人もいるでしょう。
ここでは、帰国後の再適応過程と、どのようにリバース・カルチャー・ショックを乗り切るかについて説明します。再適応の過程には、下記のような段階があると考えられていいます。
再適応の過程
第1段階: 離脱
帰国に伴い、帰ってからのこと、ホスト国での生活や友達との別れについて考え始めます。ホスト文化を離れる心の準備をする段階で、帰国したくないと思うことがあるかもしれません。
第2段階: 多幸感
期待感にあふれて帰国し、家族や友人との再会を喜びあう楽しい時間を経験するでしょう。家族や友人は、あなたの海外での話に耳を傾けますが、すぐに日常の話題に関心が移り、あなたの海外での経験に対して期待していたような関心を示さなくなるでしょう。
第3段階:逆カルチャー・ショック
当初の幸福感は冷め、自分の国にいるのにまるで部外者のように感じ始めるかもしれません。自分の生まれ育った国や街が以前とは変わってしまったように見えることもあるでしょう。期待と現実のギャップで、不満や疎外感を感じたり、家族や友人と誤解し合うようなことが起こるかもしれません。
第4段階:再適応
この段階では、徐々に故郷の生活に再適応していきます。友人、家族、様々な環境に溶け込み、社会に再適応したことを認識します。この段階に至ると、多くの人は二つの国の良い面と悪い面の両方を実感し、よりバランスの取れたものの見方ができるようになります。
注意:全ての人が確実にこのような段階を経験するとは限りません。
帰国後に発生しやすい文化適応問題
帰国後の文化に再適応する過程では、個人差が大きく見られるものの、異文化により適応していればいるほど、帰国後の再適応が大変な場合があります。以下は、帰国後に発生しやすい問題です。
- 自分の文化に再び適応しなければならないという葛藤からのストレスと不満。
- 国の社会的変化、仕事や地位や友達を取り戻せないかもしれないという気持ちから生じる喪失感。
- 友人や家族から受け入れられない感覚。友人や家族は、自分の経験に興味を持たなかったり、自分がどれほど変わったか理解できないかもしれません。
- アイデンティティーの混乱。自分がとても変わってしまったことで、自分の居場所がわからなくなるかもしれません。
- 自分のライフスタイルを失うことへの寂しさ。
再適応へのヒント
自分の道を進むうちに、自分の変化と自分の国の習慣をどう適応させるかわかるようになります。そして、二つの文化のバランスをうまくとることができるようになるでしょう。帰国後の再適応について次のような対処方法があります。
- リバース・カルチャー・ショックの兆候に気をつけましょう。帰国後のストレスがひどいと感じたら、カウンセラーなどの専門家に気軽に相談してみてください。
- ホスト国で出会った友人たちとの関係を大事にしましょう。
- 自分の経験を共有できる人や機会を見つけましょう。
- 自分の考えや気持ちを日記やブログに書きましょう。
- 友達や家族から理解されないことがあってもあまり気にしないようにしましょう。
- 自分の国の映画を見たり、本を読んだりしましょう。
- 近くで行われている国際交流活動に参加しましょう。
- ホスト国での経験を忘れずに、自分に自信を持ちましょう。